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「アルヴァロとクリスティーナ」は、この姉弟の相次いだ死のすぐ後に描かれた、
レクイエムともいえる作品である。なんの背景説明もなく、この絵だけを鑑賞す
るとつまらないかも知れない。タイトルからは二人の肖像画を想像させるが、
そうではない。二つのドアが描かれている。左のドアは暗く、おそらく内向的な
アルヴァロを表わしている。ドアの前にアルヴァロの使っていた道具類が置かれ
ている。右のドアは青の明るいドアで、クリスティーナを表わし、クリスティーナ
のピンク色の服の切れ端(「クリスティーナの世界」のクリスティーナの着ていた
服もピンク)やエプロンやフライパンがかけられている。この絵からはワイエスの、
姉弟に対する30年の友情への感謝と惜別の念があふれ出ている。
もういちど、この絵を「ワイエスの目」で見、「アルヴァロとクリスティーナ」と
いうタイトルを思い出すとき、静かな感動が湧きあがってくる。