絵のあるサイトに飛びます |
ワイエスは1939年に妻のベッツィーの紹介で、湾の対岸の丘の上に
暮らすオルソン姉弟(クリスティーナとアルヴァロ)と知り合う。
ここでワイエスはクリスティーナ、家、丘、室内などを描きはじめた。
この絵はこの家の3階の屋根窓を描いたもの。このころクリスティーナ
は足もかなり弱り、この部屋に立ち入ることもなく、この部屋はずっと
放置されていた。ワイエスは描いているうちに部屋の空気の重さを感じ
窓を開け放った。海から一陣の風が吹き込みカーテンを揺らした。
鳥の刺繍がほどこされた白く、一部ちぎれた、はかなげなレースのカー
テンが風に舞う。見る人にいろんな感傷を与えるかもしれない。
風がキャンバスに捕らえられたここちよい一瞬と感ずるか、半分下げら
れた黒いシェード、外の黒い森の不吉な背景に、うっすらと浮かぶ鳥の
刺繍が風に翻弄されるレースを、孤高に生きるクリスチーナの姿に重ね
る人もいるかもしれない。